現在、G20をきっかけに各国が仮想通貨に対する規制について足並みをそろえようとしています。
そんな規制について、今日はお話していこうかと思います。
一般的に規制というとイメージが悪い部分が多いですが、特に仮想通貨マーケットにおいては規制を
しっかり行う事が、マーケットを伸ばしていく上でキーになる。
私はそう思っています。
なので、今回のこのG20そして、それに伴うFATFによる世界規制基準の策定の内容には非常に期待しているのです。
では、実際規制を行う事によるメリットを3つに分けてご説明していきます。
1つ目はマーケットにとって害のある通貨を取引所が扱わなくなることです。
現在、仮想通貨は約2000種類を超えています。
2000種類ですよ。
皆様、全部わかりますか??
僕でも100種類くらいしか、正直わかりません。いや、わかる必要が無いのです。
なぜならその2000種類のうち、おそらく9割は開発もしっかり行われていない、いわゆる投資対象としてはアウトな仮想通貨です。
そんな中身のない仮想通貨が日本でもMLM方式で流行しているように思われます。
おそらく皆様もいくつか思い浮かぶ仮想通貨があるのではないでしょうか??
そもそも論ですが、そんな仮想通貨を上場させる取引所も取引所です。
現在Binanceなどの大手取引所では審査が非常に厳しくプロジェクトがしっかり進んでいる仮想通貨のみ
上場していく流れになっていますが、正直マイナーな取引所ではお金をある程度出せば、
すぐ上場という事までありえるようです。
だから、〇〇取引所に上場確定!!
といった謳い文句の詐欺通貨が流行してしまうのです。
今後は、仮想通貨の上場基準や、そもそも仮想通貨として名乗って良いのかという規制の基準が徐々に出てくると思います。
それにより、この2000種類ある仮想通貨の中で中身の無い通貨はどんどん無くなっていくことを期待しています。
そして、その資金達が主要通貨に流れてくるシナリオを期待します。
加えて、違法な仮想通貨をどんどん上場させた取引所も、無くなっていくべきだと思いますね。
そういった違法な仮想通貨や取引所が消えていくことは、私達にとって、そして今から投資を考える
投資家にとっても非常にメリットのある事なのです。
2つ目は価格操作への対策強化です。
現在、ビットコインを始めた仮想通貨は価格操作の部分が非常に懸念事項として、挙がっています。
ビットコインのETF上場を判断するSECはこの価格操作を無くさないと、ETFへの上場は難しいなど
宣言するほど、価格操作への対策は非常に大きなポイントになっています。
仮想通貨を金融と同じように扱う。という宣言書が今回G20で出たように、今後世界的に名のしれた
証券会社や金融関連会社が規制とともに参入してくる事が予想できます。
それらの機関が参加する事により、仮想通貨全体の取引量を増加させ、流動性を担保する事によって
価格操作を無くそうという動きが出ています。
今回の規制はそういった世界的に影響力がある機関が参入する上で非常に大きな意味を持ちます。
仮想通貨にはこれまで、明確な規制や基準が無いから、これらの世界的に影響力のある機関がなかなか
参入できなかった訳ですからね…
今後、規制が定まってくる事により、ナスダックのような巨頭が入り込んできて、価格操作への対策が
どんどん進む事を期待します。そしてETFへの上場。
これが最高のシナリオですね。
それでは3つ目です。
3つ目は機関投資家の参入です。
1.2の部分とも被りますが、規制内容が固まっていく事で、機関投資家の参入を期待する事ができると私は考えています。
これまでは仮想通貨に対し、明確な規制や基準が無い事から、詐欺などの事件が跡を絶ちません。
G20でも世界各国により「投資家保護」というキーワードがよく出てくるように、
規制というのは投資家保護にも直結するのです。
例えば、これまで国内で取引所に保管してもハッキングを受けた場合の補填内容の記載が明確になかったり、
仮想通貨の保管サービスがなかったりなど、仮想通貨を扱う上で壁になる部分が全くクリアされておりませんでした。
今後は仮想通貨を金融と同じように扱っていくという流れになるということは、世界各国で金融機関絡みの
仮想通貨保管サービスなど、どんどん仮想通貨を安全に取引するための基準や、それに伴うサービスが
増えてくる事が予想できます。
それらのサービス…
いわゆるインフラが整う事によって機関投資家の参入が期待できると私は考えています。
今回の規制はそのきっかけになると私は思います。
このように規制が進む事により、詐欺的な仮想通貨がなくなり、価格操作やハッキングへの対策がなされ、
投資家保護環境が整う事によって機関投資家がどんどん入り込んでくる事が見込める。
これが私の考える規制のメリットです。
なので、このG20が終わり、日本でいうと資金決済法が施行される来年に向けてゆっくりと整えていく事が
予想されるので、アンテナを張り続けたいと思います。
反対に規制のデメリットになりうる可能性がある事も一応考えておきたいと思います。
例えば…
海外取引所や、ハードウォレットに対する規制です。
Binanceが以前、日本の金融庁から「日本の顧客に営業しすぎるな」というニュアンスのいちゃもんを付けられ、
それによってBinanceには日本語表記がなくなった事例があるように、日本は海外取引所に資金が
流れることを懸念しています。
1つ、海外の取引所への規制はありえない話では無いので、そこはしっかり押さえておく必要があると思います。
また、先日リアルタイム情報でも挙げましたが、今は良しとされているレジャーナノSなどの
ハードウォレットもいずれは本人性確認や、日本国からの横槍による使用禁止などもありえない話では
無いと思います。
こういった事は起こる起こらないではなく、いつ起こっても良いような想定と対策をする事が
大切だと私は考えています。
私としても決して起こってほしくは無い事なんですが、日本が懸念している事は
先読みしておく必要があると思います。
なので、例えば、もし国内の取引所で仮想通貨を保管しないといけない状況になった場合を想定して、
SBIやビットバンクやビットポイントなど、セキュリティに対しては自信を持っている取引所を
開設しておくべきだと思います。
特にSBIはハッキングはありえないと宣言しているほど、セキュリティには自信を持っていますからね。
こういった可能性はあるので、皆さまも是非上記の国内取引所は開設しておきましょう。
最後になりますが、今回の仮想通貨に対する規制については私も非常にポジティブな目線で見ています。
G20で中央銀行総裁が出した声明文にも
「仮想通貨の技術革新について金融システム及び、より広く経済に重要な便益をもたらし得る」
という言葉があるように仮想通貨は世界的にもう無視できない存在になっているのです。
この仮想通貨を扱っていく上で
規制は必ず必要な取り組みなのです。
禁止ではなく、規制というのは大きな違いなのです。
まあ、中央銀行総裁がそれだけポジティブな声明を出すなら、税制も何とかしてほしいですね…
まだまだ、内容も明確に決まっていないところが多いですが、引き続き注目していき、
そして重要なポイントがあれば、随時共有していきたいと思います。
2019.6.12コラムより一部抜粋
「斉藤圭祐の仮想通貨プレミア」